remote.txt For Vim バージョン 9.1. Last change: 2022 Feb 17
VIMリファレンスマニュアル by Bram Moolenaar
Vimクライアントサーバー通信 client-server
1. 共通機能 clientserver
2. X11特有の項目 x11-clientserver
3. Win32特有の項目 w32-clientserver
==============================================================================
1. 共通機能 clientserver
オプション+clientserverでコンパイルした時には、Vimはコマンドサーバーとして動
作することができる。それによりクライアントからメッセージを受け取りそれを実行す
ることができる。同時に、Vimはクライアントの機能も持ち合わせVimサーバーへメッ
セージを送ることもできる。
以下のコマンドライン引数が利用できる:
引数 意味
--remote [+{cmd}] {file} ... --remote
ファイルをリモートのVimで開く。Vimサーバーが無
い時には、ローカルで実行される。オプションで
+{cmd}に一つだけExコマンドを指定できる。コマン
ドは "|" でつなげて複数指定できる。コマンドラ
インの残りの部分はファイルのリストとして扱われ
る。だからファイルではない引数はこれよりも前に
書かなければならない。
この方法で標準入力を開くことはできない--。
次のようにしなければリモートのVimが問題を起こ
すかもしれない。
--remote-silent [+{cmd}] {file} ... --remote-silent
上と同様、しかしサーバーが存在しなくてもエラー
を報告しない。指定したファイルがすでにローカル
で編集中であっても同様。
--remote-wait [+{cmd}] {file} ... --remote-wait
--remoteと 同様、しかしリモートVimでファイルが
完了(解放)されるまで待つ。
--remote-wait-silent [+{cmd}] {file} ... --remote-wait-silent
--remote-wait と同様、しかしサーバーが存在しな
くてもエラーを報告しない。
--remote-tab
--remote-tab --remote と同様、しかし各ファイルを新しいタブ
ページで開く。
--remote-tab-silent
--remote-tab-silent --remote-silent と同様、しかし各ファイルを新し
いタブページで開く。
--remote-tab-wait
--remote-tab-wait --remote-wait と同様、しかし各ファイルを新しい
タブページで開く。
--remote-tab-wait-silent
--remote-tab-wait-silent --remote-wait-silent と同様、しかし各ファイル
を新しいタブページで開く。
--servername
--servername {name} サーバー名{name}になる。--remote コマンドのど
れか1つと併用すると、デフォルトのサーバーでは
なく{name}で指定されるサーバーに接続する(下を
参照)。使用される名前は大文字になる。
--remote-send
--remote-send {keys} サーバーに{keys}を送信して終了する。{keys} に
マップは適用されない。特殊キー名が使用できる。
例: "<CR>" は CR 文字になる。
--remote-expr
--remote-expr {expr} サーバーに{expr}を実行評価させ、その結果を標準
出力に印刷する。
--serverlist
--serverlist サーバー名のリストを表示する。
使用例
既に起動しているgvimサーバーで "file.txt" を編集する:
既に起動しているFOOBARという名のサーバーで "file.txt" を編集する:
既に起動しているFILESという名のサーバーがあれば、FILESで "file.txt" を編集する
が、無ければ自分がFILESになる:
--remoteの後の全ての引数がファイル名として解釈されるので動作しない:
リモートサーバーで "+foo" という名のファイルを編集する("./" により先頭の "+"
の特別な意味が無効化されていることに注目):
"BLA" という名のリモートサーバーで編集中の全てのファイルを保存して終了する:
サーバー名 client-server-name
デフォルトではVimは自分が起動された時の名前(gvim, egvim ...)のサーバーになろう
とする。これは引数 --servername で変更できる。指定した名前が利用できない場合に
は、利用できる名前になるように後置名が付加される。例えば、1つのX-Serverで2つ目
のgvimを起動したときには "gvim1" というようになる。その時のサーバー名へは組み
込み変数v:servernameによりアクセスできる。サーバー名の大文字小文字は区別され
ないので、"gvim" と "GVIM" は同じとみなされる。
Vimが引数 --remote や --remote-wait または --remote-send で起動された時には、
上記のようにその名前で起動されたサーバーを探そうと試みる。正確に一致するサー
バーがなかった時には、数字の後置名を付けて見つかった最初のサーバーを使用する。
引数 --servername に数字の後置を付けた名前を指定した場合には、それは正確に一致
するものだけを対象とする。
サーバーが見つからなく、--remote か --remote-wait が使われた時には、Vimは残り
のコマンドラインに従い起動し、そのファイルの編集セッションを自分自身で取り持
つ。この方法ならgvimはコマンドを送信する時に、既に別のgvimが起動しているかどう
かを知る必要は無い。
引数 --serverlist はVimに登録(実行)されている全てのコマンドサーバーを、標準出
力(stdout)に印刷して終了する。
{server}
引数 {server} はいくつかの関数で使われる。これが空文字列の場合、Unix ではデフォ
ルトのサーバー名として "GVIM" が使用される。MS-Windows では空文字列は動作しな
い。
Win32 NOTE: Vimサーバーをアクティブアプリケーション(トップウィンドウ)にするこ
とは、MS-Windowsがそれを許していないので必ずしも成功するわけではない。クライア
ントは引数 --remote や --remote-wait を使用しサーバー名が "g" で始まる時には、
サーバーをアクティブアプリケーションにすることを試みる。
リモート編集
引数 --argument は残りのコマンドラインから:dropコマンドを構成することを引き
起こし、それを上記の方法で送信する。
引数 --remote-wait は同じ事をして、加えて全てのファイルの編集の完了を待つよう
に設定される。これはBufUnloadイベントを使用し、だからファイルがアンロードされ
るとすぐに、Vimはファイルの編集が完了したと判断する。
引数 --remote と --remote-wait は残りのコマンドライン全てを自分のものとして扱
うことに注意。言い換えれば残り全ての引数はファイル名とみなされる。そこにオプ
ションを置くことはできない!
Vim script 関数
E240 E573
Vim script にはコマンドサーバーを操作するために幾つか関数がある。詳細な解説は
builtin.txtを参照するか、関数名の上でCTRL-]を使って完全な解説を参照すること。
概要 説明
remote_startserver( name) サーバーを開始する
remote_expr( server, string, idvar) 式を送信する
remote_send( server, string, idvar) キーシーケンスを送信する
serverlist() 利用可能なサーバーのリストを得る
remote_peek( serverid, retvar) 結果文字列の有無確認する
remote_read( serverid) 結果文字列を取得する
server2client( serverid, string) 結果文字列を送信する
remote_foreground( server) サーバーを前面に移動する
CTRL-\_CTRL-Nの説明も参照。キーシーケンスの先頭に使用すると便利。
server2client()で使用するサーバーIDはexpand("<client>")で取得できる。
==============================================================================
2. X11特有の項目 x11-clientserver
E247 E248 E251 E258 E277
クライアントとサーバー間の通信はXサーバーにより行われる。Vimサーバーのディスプ
レイを指定する必要がある。Xサーバーの通常の保護機能が使われており、通信が成り
立つためにはそのXサーバーでウィンドウを作成できなければならない。異なるマシン
間での通信も可能である。
デフォルトでは、GUI Vim は X サーバーに名前を登録して送信された文字列を実行で
きるように備える。Vim はクライアントとしても振舞い、同じ X11 ディスプレイで動
作する別の Vim インスタンスに文字列を送ることができる。
X11のGUI Vim(gvim)が起動すると、ルートウィンドウの 'VimRegistry' プロパティに
送信サーバー名を登録しようと試みる。
X11ディスプレイにアクセスできる非GUIのVim(xterm-clipboardが有効になっている)
も、サーバー名が引数 --servername で明示的に与えられるか、Vim が
+autoservername 機能付きでビルドされている場合は、コマンドサーバーとして振舞
うことができる。
引数 --servername に空のサーバー名を与えればコマンドサーバー機能を無効にできる。
異なるアプリケーションからVimサーバーへコマンドを送るには、使われているプロト
コルの幾つかのヒントを含むソースコードsrc/if_xcmdsrv.cを参照のこと。
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3. Win32特有の項目 w32-clientserver
全てのWin32版Vimはコンソールもサーバーとして動作できる。OLEを組み込んでコンパ
イルする必要は無い。どのMS-Windowsでも動作する、Windowsメッセージが使用されて
いる。しかしネットワークを通じてやり取りすることはできない。
MS-Windowsメッセージを使っているから、どのようなアプリケーションでもVimサーバー
と通信することができる。加えてOLEの機能を使うこともできるole-interface。
gvimを使っている時には、--remote-wait は以下のようにしないと正しく動作しない:
vim:tw=78:sw=4:ts=8:noet:ft=help:norl:
VIMリファレンスマニュアル by Bram Moolenaar
Vimクライアントサーバー通信 client-server
1. 共通機能 clientserver
2. X11特有の項目 x11-clientserver
3. Win32特有の項目 w32-clientserver
==============================================================================
1. 共通機能 clientserver
オプション+clientserverでコンパイルした時には、Vimはコマンドサーバーとして動
作することができる。それによりクライアントからメッセージを受け取りそれを実行す
ることができる。同時に、Vimはクライアントの機能も持ち合わせVimサーバーへメッ
セージを送ることもできる。
以下のコマンドライン引数が利用できる:
引数 意味
--remote [+{cmd}] {file} ... --remote
ファイルをリモートのVimで開く。Vimサーバーが無
い時には、ローカルで実行される。オプションで
+{cmd}に一つだけExコマンドを指定できる。コマン
ドは "|" でつなげて複数指定できる。コマンドラ
インの残りの部分はファイルのリストとして扱われ
る。だからファイルではない引数はこれよりも前に
書かなければならない。
この方法で標準入力を開くことはできない--。
次のようにしなければリモートのVimが問題を起こ
すかもしれない。
vim --remote-send "<C-\><C-N>:n filename<CR>"
--remote-silent [+{cmd}] {file} ... --remote-silent
上と同様、しかしサーバーが存在しなくてもエラー
を報告しない。指定したファイルがすでにローカル
で編集中であっても同様。
--remote-wait [+{cmd}] {file} ... --remote-wait
--remoteと 同様、しかしリモートVimでファイルが
完了(解放)されるまで待つ。
--remote-wait-silent [+{cmd}] {file} ... --remote-wait-silent
--remote-wait と同様、しかしサーバーが存在しな
くてもエラーを報告しない。
--remote-tab
--remote-tab --remote と同様、しかし各ファイルを新しいタブ
ページで開く。
--remote-tab-silent
--remote-tab-silent --remote-silent と同様、しかし各ファイルを新し
いタブページで開く。
--remote-tab-wait
--remote-tab-wait --remote-wait と同様、しかし各ファイルを新しい
タブページで開く。
--remote-tab-wait-silent
--remote-tab-wait-silent --remote-wait-silent と同様、しかし各ファイル
を新しいタブページで開く。
--servername
--servername {name} サーバー名{name}になる。--remote コマンドのど
れか1つと併用すると、デフォルトのサーバーでは
なく{name}で指定されるサーバーに接続する(下を
参照)。使用される名前は大文字になる。
--remote-send
--remote-send {keys} サーバーに{keys}を送信して終了する。{keys} に
マップは適用されない。特殊キー名が使用できる。
例: "<CR>" は CR 文字になる。
--remote-expr
--remote-expr {expr} サーバーに{expr}を実行評価させ、その結果を標準
出力に印刷する。
--serverlist
--serverlist サーバー名のリストを表示する。
使用例
既に起動しているgvimサーバーで "file.txt" を編集する:
gvim --remote file.txt
既に起動しているFOOBARという名のサーバーで "file.txt" を編集する:
gvim --servername FOOBAR --remote file.txt
既に起動しているFILESという名のサーバーがあれば、FILESで "file.txt" を編集する
が、無ければ自分がFILESになる:
gvim --servername FILES --remote-silent file.txt
--remoteの後の全ての引数がファイル名として解釈されるので動作しない:
gvim --remote --servername FOOBAR file.txt
リモートサーバーで "+foo" という名のファイルを編集する("./" により先頭の "+"
の特別な意味が無効化されていることに注目):
vim --remote ./+foo
"BLA" という名のリモートサーバーで編集中の全てのファイルを保存して終了する:
vim --servername BLA --remote-send '<C-\><C-N>:wqa<CR>'
サーバー名 client-server-name
デフォルトではVimは自分が起動された時の名前(gvim, egvim ...)のサーバーになろう
とする。これは引数 --servername で変更できる。指定した名前が利用できない場合に
は、利用できる名前になるように後置名が付加される。例えば、1つのX-Serverで2つ目
のgvimを起動したときには "gvim1" というようになる。その時のサーバー名へは組み
込み変数v:servernameによりアクセスできる。サーバー名の大文字小文字は区別され
ないので、"gvim" と "GVIM" は同じとみなされる。
Vimが引数 --remote や --remote-wait または --remote-send で起動された時には、
上記のようにその名前で起動されたサーバーを探そうと試みる。正確に一致するサー
バーがなかった時には、数字の後置名を付けて見つかった最初のサーバーを使用する。
引数 --servername に数字の後置を付けた名前を指定した場合には、それは正確に一致
するものだけを対象とする。
サーバーが見つからなく、--remote か --remote-wait が使われた時には、Vimは残り
のコマンドラインに従い起動し、そのファイルの編集セッションを自分自身で取り持
つ。この方法ならgvimはコマンドを送信する時に、既に別のgvimが起動しているかどう
かを知る必要は無い。
引数 --serverlist はVimに登録(実行)されている全てのコマンドサーバーを、標準出
力(stdout)に印刷して終了する。
{server}
引数 {server} はいくつかの関数で使われる。これが空文字列の場合、Unix ではデフォ
ルトのサーバー名として "GVIM" が使用される。MS-Windows では空文字列は動作しな
い。
Win32 NOTE: Vimサーバーをアクティブアプリケーション(トップウィンドウ)にするこ
とは、MS-Windowsがそれを許していないので必ずしも成功するわけではない。クライア
ントは引数 --remote や --remote-wait を使用しサーバー名が "g" で始まる時には、
サーバーをアクティブアプリケーションにすることを試みる。
リモート編集
引数 --argument は残りのコマンドラインから:dropコマンドを構成することを引き
起こし、それを上記の方法で送信する。
引数 --remote-wait は同じ事をして、加えて全てのファイルの編集の完了を待つよう
に設定される。これはBufUnloadイベントを使用し、だからファイルがアンロードされ
るとすぐに、Vimはファイルの編集が完了したと判断する。
引数 --remote と --remote-wait は残りのコマンドライン全てを自分のものとして扱
うことに注意。言い換えれば残り全ての引数はファイル名とみなされる。そこにオプ
ションを置くことはできない!
Vim script 関数
E240 E573
Vim script にはコマンドサーバーを操作するために幾つか関数がある。詳細な解説は
builtin.txtを参照するか、関数名の上でCTRL-]を使って完全な解説を参照すること。
概要 説明
remote_startserver( name) サーバーを開始する
remote_expr( server, string, idvar) 式を送信する
remote_send( server, string, idvar) キーシーケンスを送信する
serverlist() 利用可能なサーバーのリストを得る
remote_peek( serverid, retvar) 結果文字列の有無確認する
remote_read( serverid) 結果文字列を取得する
server2client( serverid, string) 結果文字列を送信する
remote_foreground( server) サーバーを前面に移動する
CTRL-\_CTRL-Nの説明も参照。キーシーケンスの先頭に使用すると便利。
server2client()で使用するサーバーIDはexpand("<client>")で取得できる。
==============================================================================
2. X11特有の項目 x11-clientserver
E247 E248 E251 E258 E277
クライアントとサーバー間の通信はXサーバーにより行われる。Vimサーバーのディスプ
レイを指定する必要がある。Xサーバーの通常の保護機能が使われており、通信が成り
立つためにはそのXサーバーでウィンドウを作成できなければならない。異なるマシン
間での通信も可能である。
デフォルトでは、GUI Vim は X サーバーに名前を登録して送信された文字列を実行で
きるように備える。Vim はクライアントとしても振舞い、同じ X11 ディスプレイで動
作する別の Vim インスタンスに文字列を送ることができる。
X11のGUI Vim(gvim)が起動すると、ルートウィンドウの 'VimRegistry' プロパティに
送信サーバー名を登録しようと試みる。
X11ディスプレイにアクセスできる非GUIのVim(xterm-clipboardが有効になっている)
も、サーバー名が引数 --servername で明示的に与えられるか、Vim が
+autoservername 機能付きでビルドされている場合は、コマンドサーバーとして振舞
うことができる。
引数 --servername に空のサーバー名を与えればコマンドサーバー機能を無効にできる。
異なるアプリケーションからVimサーバーへコマンドを送るには、使われているプロト
コルの幾つかのヒントを含むソースコードsrc/if_xcmdsrv.cを参照のこと。
==============================================================================
3. Win32特有の項目 w32-clientserver
全てのWin32版Vimはコンソールもサーバーとして動作できる。OLEを組み込んでコンパ
イルする必要は無い。どのMS-Windowsでも動作する、Windowsメッセージが使用されて
いる。しかしネットワークを通じてやり取りすることはできない。
MS-Windowsメッセージを使っているから、どのようなアプリケーションでもVimサーバー
と通信することができる。加えてOLEの機能を使うこともできるole-interface。
gvimを使っている時には、--remote-wait は以下のようにしないと正しく動作しない:
start /w gvim --remote-wait file.txt
vim:tw=78:sw=4:ts=8:noet:ft=help:norl: