Hack #163: VimをVimスクリプトインタプリタとして使う
Posted at 2010/07/24ツイート
viの前身であるedは、シェルスクリプトなどで文字列置き換えのために使うことができます。 (fileというファイルの中身を全行逆転させる例です)
ed - file <<EOS
g/^/m0
write
qall!
EOS
g/^/m0
は^
にマッチする行に対して:m0
という操作を適用するコマンドです。
:m0
は分かりやすく書くと:move 0
で、引数の行の下に現在の行を持っていくという動作をします。
^
はどの行にもマッチするので、:m0
で全部の行に対して上からマッチした順に1行目に持っていきます。
操作が終わると全行が逆になっているというわけです。
また:write
と:qall!
は全行逆になったバッファをfile
に書き込むために必要です。
VimについてくるexというコマンドはedのVim版とも言えるものですのでもちろん上のようなことができます。 しかしデフォルトでは.vimrcやプラグインなども読み込んでしまうため、 「素のex」として使いたい場合は「-u NORC –noplugin」を指定する必要があります。 さらにVimmerとしてはVimの機能が使えず戸惑わないように「-N」も指定する必要があります。 よってexをVimスクリプトインタプリタとして使うには以下のように起動すればできそうです。
ex -N -u NORC --noplugin
冒頭の例のex版はこのようになります。
ex -N -u NORC --noplugin file <<EOS
g/^/m0
write
qall!
EOS
デフォルトでもこのようにVimスクリプトインタプリタのように使えなくはないのですが、以下のような難点があります。
- ファイルに対して実行するには末尾に必ず
:write
と:qall!
をつけなければならず面倒 - ファイルに対して実行する際に元のデータを壊してしまう
- いくつかの定型的なオプションを付けるのが面倒
- 標準入力からスクリプトを読み込むのでファイルを標準入力から読み込めない
解決
iexを使います。 これはVimスクリプトをPerl、Ruby、Pythonなどの多くのLLのインタプリタと同じ感覚でVimスクリプトを実行させることができる優れ物です。
$ echo 'g/^/m0' >reverse.vim
$ cat ~/.vimrc | iex reverse.vim -
# -eオプションで指定することも可能
$ cat ~/.vimrc | iex -e 'g/^/m0' -
$ iex # /bin/exが開く
詳しくはiex -h
を見てください。
いくつかのVimスクリプト
おまけとしていくつかのUNIXコマンドをVimスクリプトで実装します。
tac
$ cat tac.vim
g/^/m0
$ iex tac.vim file
sort
$ cat sort.vim
sort
$ iex sort.vim file
sort -u (sort | uniq)
$ cat uniq.vim
sort u
$ iex uniq.vim file
grep
$ cat grep.vim
edit `=ARGS[1]`
execute 'v/' . ARGS[2] . '/d'
$ iex -s grep.vim ~/.vimrc vim
("vim"のみを含んだ行が表示される)
また-e
オプションを使ったやり方を示すと
$ iex -s -e 'edit `=ARGS[1]' -e 'execute "v/" . ARGS[2] . "/d"' ~/.vimrc vim
のようになります。
これは一般のLLインタプリタと同じようにワンライナーのようなものを書くのに適しています。
また-s
を与えることで引数の扱いを変えています。
-s
を与えると中身を読み込まずにg:ARGS
というListに代入するだけにします。
その他細かい違いなどはiex -h
を見てください。
もどる
blog comments powered by Disqus